そこで初めて、俺の脳裏にチラチラと危険信号が点滅し始める。 これは、ヤバイ――。 『深夜のこんなに人気のない場所に、薄笑いを浮かべながら、ハイヒールの音を響かせる女』。 こんなものが、尋常であるはずががない。 本能的に危険を感じた俺は、慌てて逃げ出そうとした。 だが気ばかりがあせって、肝心の足が地面に縫いつけられたように動かない。