「さて。夕飯、夕飯っと」
今日の夕飯は、コンビニのソバ。
ちょっと味気ないけど、これも一人暮らしの醍醐味よね。
私はソバを取り出そうと、キッチンの脇に並べて置いた買ったばかりの冷蔵庫に手を掛けた。
「あれ? 開かない。お母さん、フックしていったのかな?」
見ると、冷蔵庫のドアの右上に付いている黒いフックが掛かっている。
『子供がいるわけじゃないから、フックは掛けなくてもいいわね?』
買い出ししてきた食材を入れるとき、確かに母はそう言っていたはずだ。
「お母さん、ボケが入ったかな?」
クスクスと笑いながら、カチャリとフックに右手を掛けた次の瞬間、
チクリと、指先に鋭い痛みが走った。



