あせって周りを見渡す私の目に、闇に浮かび上がるお供え物の日本酒の一升瓶が見えた。
白い包装紙で包まれたその瓶は、しめ縄が掛けられている。
あれだ、御神酒!
私は硬直状態の東悟の腕から下にすり抜けると、一升瓶の置いてある壁際まで床を這って行った。
白い包装紙をはぎ取り、アルミのキャップを外し、栓を指でこじ開けようとする。
でも、指が震えて上手く外れない。
そうしている間も、東悟の苦しそうなうめき声が耳に届く。
ええいっ!
私は観念して、頑丈なだけが取り柄の前歯を瓶と栓の間にこじ入れ、気合いとともに栓を引き抜いた。
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場に不似合いなひょうきんな音を響かせ、瓶の栓が抜ける。
ぺっ!
蓋を吐き捨てた私は、一升瓶を抱えて東悟の元に駆け戻った。



