闇に閉ざされた本殿の中に、だた、二人の荒い息使いだけが響く。
はあはあと肩で息を付きながら、やはり同じように息の上がっている東悟に向かいやっとの事で質問をする。
「な、何なの、あれは?」
「……」
「東悟?」
東悟は、黙ったまま全く答える素振りが無い。
その様子に不安になって、暗闇の中、手探りで東悟の腕にしがみつく。
その手に伝わる微かな振動に、私はギクリとした。
震えている。
滅多な事では動じない東悟が、震えている。
「香織……」
何か言いずらそうに口ごもる東悟の腕を辿り、手を繋ぐ。
その手はヒンヤリと冷たく、やはり微かに震えていた。
「沙希ちゃんは、もう多分、生きてはいないと思う」



