暗い建物の中から見る外は、月の光で明るい――はずなのに、そこは漆黒の闇に包まれていた。
その闇の中から細長い白い腕が、戸の内側に、ひょろりと張り付くように伸びている。
力など入れていないように、ただそこに伸びている腕。
その白い腕が、戸を閉めようとしている東悟の渾身の力を止めているのだ。
な、何?
何なの、これは!?
あまりに異常な光景だ。
私は座り込んだまま身動ぎも出来ずに、ただその光景に見入っていた。
「香織! 手を貸せっ!」
東悟の悲鳴のような声に、ハッと我に帰る。
何がどうなっているのか分からない。
でも今この戸を閉めなければ、とてつもない嫌な結果が待っていることだけは分かった。
「香織っ!」
「は、はいっ!」
私は這うように東悟の後に周り込んで、そして戸に手を添えた。



