神社に着いた頃は、すっかり辺りは夜のとばりに包まれていた。
闇の中、ぽっかりと浮かんだ青白い満月。
その月明かりの下、照らされ浮かび上がる神社のお社は、荘厳と言うよりは恐怖の念を抱かせる。
その内に潜む何か得体の知れない力を感じて、私はぶるっと身震いをした。
足下を照らすのは、頼りない懐中電灯の明かりだけだ。
心細いことこの上ない。
「やはり、沙希ちゃんが来た痕跡は見付からないな」
「うん……」
東悟と二人で、神社の敷地をぐるりと回ってみたが、沙希がここに来たと言う証拠は、何処にも見い出せなかった。
「沙希……」
無駄とは知りつつも私は友人の姿を求め、ゆっくり神社の境内を見回した。
手入れされた植木の向こうは、鬱蒼とした自然の山が深い闇を懐に抱いて静かに佇んでいる。
沙希、あなた一体、何処にいるの?
答える者は無く、ただ静寂だけが世界を支配していた。



