「はあっ」


車の助手席で、大きな溜息を付いた私は、右手の指先で眉根をもみほぐした。


お盆の帰省ラッシュの渋滞で、流れの止まった高速道路。何処までも続く車の群は、まるで蟻の大群を思わせる。


じりじりと容赦なく照りつける真夏の太陽がアスファルトを焼き付け、まるで蜃気楼のように全てをユラユラと揺らしていた。


ただでさえ、ピタリとも動かない車にイライラするのに、昨夜の夢見の悪さが自分で思っているよりかなり体調に響いていた。