その笑顔は、どこかちょっぴり大人びて見えて、私は意味もなく鼓動が早くなるのを感じた。


真次君は、私が思うよりも、多くの事を経験してきているのかも知れない。


クスクス。


不意に聞こえた楽しげな子供の笑い声に、私と真次君は同時に隣のベットの上に視線を走らせた。


でも。


そこには人の気配は無く、キチンと整えられた空きベットがあるだけだ。


真次君と二人、思わず顔を見合わせる。


「笑われちゃった」


「ああ、今のは俺にも聞こえた」


笑顔で言う私に、真次くんが苦笑で答える。


私の心の奥に芽生えた、真次君に対する不可解な感情を見透かしたのか否か。


目に見えない異界の住人の笑いのツボを刺激してしまったらしい。