-恐怖夜話-



熱い悔し涙が、冷たい頬を止めどなく伝う。


訳も分からず、訳の分からない何かに首を絞められて死ぬなんて、こんな理不尽なこと絶対イヤだ!


必死に手足に力を込める。


でも、それが返って髪の毛を体に食い込ませてしまい、私の喉は更に締め上げられる。


誰……か。


コメカミに、せき止められた血液の脈打つ音がガンガンと響き、天井がぐるぐると回る。


誰か、助けて――。


救いを求めて、唯一自由になる目をぎゅっと瞑った。


『何かあったら、念仏を唱えろ』


酸欠で薄れゆく私の脳裏に、真次くんの黒い瞳が過ぎる。


意志のこもった、真っ直ぐな黒い瞳。