-恐怖夜話-



冷えた私の顔に、生暖かい女の息がかかる。


それとともに鼻腔に届く、強烈な悪臭。


あれだ、あのニオイ。


部屋に初めて入ったときに嗅いだ、あのニオイ。


しゅるしゅるっ。


足に。


手に。


腰に。


胸に。


そして首に。


しゅるしゅると、まるでそれ自体が意志を持っているかのように、女の髪は動けない私の体を螺旋を描きながら這い登ってくる。