-恐怖夜話-



指先が触れようとする、正にその瞬間。


ズルリ――。


『ソレ』はまるで何かに押し出されるように、蛇口からこぼれ出てきた。


私の指先を、覚えのある感触が掠めていく。


え……?


黒い……糸?


ううん、違う。


サラリと指に触れるこの感触は、似ているけど糸じゃない。


この感触は――。


私はびくりと、伸ばしたその手を引き戻した。