-恐怖夜話-


こつん、こつん。


こつん、こつん、こつん――。


しんと静まりかえった階段室に、私たち家族の足音だけがうつろに響く。


少し薄暗くジメッとしたコンクリートの内階段は、まるで個性という物がない。


踏み板部分のコンクリートには長年の色々な汚れが染みついていて、濃いグレーの色彩の中に不気味な模様を浮かび上がらせている。


点が三つ並んでいると、顔に見えてくると言うけど、確かにそんな気がしてくるから不思議。


何度も塗り重ねて来たのだろう。


妙にボテッと厚みを感じさせるクリーム色の壁は、外壁と一緒ですすけて黒い蜘蛛の巣状のヒビが走っていた。


行けども行けども、同じ風景。


行けども行けども、繰り返される、同じ風景。