「そうですか……」 管理人さんは、少し残念そうな顔を顔をしたけど、それ以上は何も言わなかった。 「ねぇ、武ちゃん。昨夜、トイレから車に戻るとき、一体何を見たの?」 手続きの終わった後、キャンプ場の中の一角に車を止めた武士に質問してみた。 近くには、数組の家族連れがいて、賑やかな声を上げている。 それを見詰めながら、武士が明るい声で答えた。 「別に、何も見ないよ」 メガネの奥の瞳は、笑っている。 「うそ。絶対何か見たんでしょ?」 「見ーなーいー」 「もう、けちっ!」