「自分たちと同じようなカップルを見付けて、嬉しくて出てきたのかもしれないですね。悪さをする質の悪い霊じゃないので、大丈夫ですよ」
管理人さんは、そう言って大分寂しくなっている頭の天辺をぺしぺしと叩いて笑った。
悪さ……。
確かに、悪さとは違うと思うけど。
十分怖かったんですが……。
私は、武士とお互いの顔を見合わせて、苦笑を浮かべた。
「それで、宿泊日数はどうします?」
管理人の質問に、武士はすまなそうに答えた。
「今日一日のんびりして、夕方には帰ります」
同感同感。
いくら何でも、ここに泊まる気にはなれない。



