-恐怖夜話-


「そうですか……あなた方も見たんですか」


キャンプ場の管理棟で私達の受付処理をしながら、先ほどのおじいさん、このキャンプ場の管理人さんは、恐怖と言うよりはどこか悲しげな表情を浮かべて話を始めた。


それはもう十年以上も前のこと。


一組の若い夫婦が、このキャンプ場の近くにある登山道で落石事故に巻き込まれ、沢に滑落して亡くなったのだそうだ。


奥さんを庇うように落ちたご主人は、ほぼ即死状態。


ご主人のおかげで即死は免れたものの、重傷だった奥さんも命を取り留める事は出来ずに、発見されたときには既に亡くなっていたのだという。


その遺体は、降り積もる赤い紅葉の葉に半ば隠れるように遺されていたそうだ。