――嫌。
冷たくなっていく指先に、少しでも温もりを留めようと自分の指を添わせる。
――だめだよ。
――だって、ほら家に帰らなくちゃ。
――子供を作るんだから。
――夢に見た、家族を作るんだから。
心の中を吹き荒れる嵐が、止めどなく涙を溢れさせる。
涙で洗い流された赤い世界が、色を取り戻していく。
雨に濡れた赤い紅葉の葉が、はらりはらりと空を舞う。
はらり、はらりと、降り積もり、全てを覆い隠していく。
私も、彼も。
私たちの下に広がる、
一面の血だまりも。
それは、
例えようもなく残酷で、美しい光景だった。



