カラン――。 カラン、カラン――。 音がする。 記憶の隅っこで、微かな微かな音がする。 あれは、何の音? 耳にこびりついている、不安を仰ぎ立てる、あの音。 一瞬にして全てを奪い去って行く、あの音は、何? 頬を叩く冷たい雨。 赤い世界。 次第に温もりを失っていく、彼の指先。