-恐怖夜話-


息を呑んで彼の横顔を覗き込むと、いつもは余り表情を動かす事が少ない顔が微かに上気していた。


『久しぶりに、山歩きでもしようか?』


自営業の仕事が軌道に乗り、休む暇も無かったこのごろ。


ずっとご無沙汰だったハイキングに誘われて来たものの、彼が何か話をしようとしている事に気付いていた私は、そのことが気になって心から楽しめないでいた。


何か、悪い話だろうか?


なんてドキドキしていたけど、まさかこの話だなんて、予想外。


「うん。そうだね。子供がいたら、きっと楽しいね」


実は私も、ずっとそう思っていた。


でも、毎日忙しくて、たぶんこれからも忙しいだろう事が十分予想出来たから、私からは言い出せないでいたのだ。