「なあ、もうそろそろ、子供が居てもいいと思わないか?」 「え?」 ポソリと呟くように言った彼の言葉に、私は黙々と動かしていた重い登山靴を止めた。 あれ? 今、何か、夢でも見ていた? 夢から覚めたときの、ふっと現実に帰ったときの不思議な浮遊感。 どちらが夢で現実か、分からなくなる。 私はそんな感覚を覚えて、軽く頭を振った。 やだ、ぼうっとしちゃった。 「今、なんて言ったの?」 少し前で足を止めた彼に、聞き返した。 「だから、もうそろそろ子供が欲しいなって、話」 え?