-恐怖夜話-


眼球が、真っ黒だった。


瞳も、本来なら白目の部分も、


コールタールを流し込んだように、全てが黒一色に染まっている。


――何? 何なのこれは?


こんな『モノ』、私は知らない。


こんな瞳に闇を宿した『モノ』を、私は今まで見たことがない。


息を呑む私の視線の先で、『少年の形をしたモノ』の闇色の瞳に、ポツリと赤い点が灯る。


闇の中で見詰める二つの赤い点、それが見る間に大きさを増していく。


――これは、人間じゃない。


――こんなモノが、人間であるわけがない。