-恐怖夜話-



この期に及んで私は、この二人が人間だと思おうとした。


現実逃避。


だって。


そう思わないと、もの凄く嫌な現実が突きつけられそうで怖かった。


でもその一方で、私はこの時、気付いてしまっていた。


最初にこの二人を見掛けた時に感じた『違和感の正体』が何なのか――。


真夜中の二時に、二人は明かりを何も持っていなかった。


いくら月が出てたって懐中電灯一つ持たずに、そもそもあんな深夜に登山をする人間は居ない。


居るはずがないのだ。


なのに、そのことに欠片も疑問を抱かなかった自分が信じられない。