-恐怖夜話-



とにかく、もう一度携帯電話で家に連絡してみよう。


携帯がダメなら、一番近い民家で電話を借りればいいよね?


そうだ、緊急事態なんだから兄さんには悪いけど、迎えに来て貰おう。


まずは家に連れて帰って、冷え切った少年の体を温めてから、警察に電話をすればいい。


「ちょっと待っててね、ボク。今、お姉ちゃんのお家の人に、車で迎えに来て貰うから」


そう言って、少年の顔を覗き込んだ私は、再びその場で動きを止めた。


少年の白い顔。


そこにあったのは、二つの深い闇。


少年の瞳は、ただ闇色に染まっていた――。