-恐怖夜話-


「武ちゃん?」


いったい何が、武士にこんな表情をさせているのか。


「……何でもない」


何でもないって顔じゃないんですけど、旦那様。


何を見ていたの?


私は、武士の見ているだろう『何か』を探して、視線を巡らそうとした。


が――。


「早く、車に戻ろう」


と、武士に肩を強く抱き寄せられて、視線を遮られてしまった。


「え!?」


な、な、何!?


なんでいきなり、肩抱きますか!?