-恐怖夜話-


何でこんな時間に、こんな所に子供がいるの?


迷子かなにか?


「あ……、あなた、どうしたの? なんでこんな所にいるの? お母さんは?」


少年は、冬だというのに半袖半ズボン姿で、私の質問の意味が分からないのか、それとも分からないフリをしているのか、ただニッコリと笑顔を浮かべている。


「とにかく、これを着て。風邪を引いてしまうから」


急いで自転車のスタンドを立ててから、コートを脱いで少年の肩からすっぽりとかぶせてあげると、一瞬触れたその華奢な肩が、氷のように冷え切っているのが分かった。


無理もない。


この寒い季節のそれも夜中に、こんな薄着でいたら体が冷え切って当たり前だ。


コートを脱いでしまった私も、凍てついた冬の夜気に見る間に体の熱を奪われ、思わず身震いが出る。


この子の保護者は、こんな寒空に子供を放り出して、いったい何をしているの?


――もしかして、幼児虐待とか、そう言うのだろうか。