「な、なんだ、どうしたんだ!?」
「え!?」
驚いたような男性の声が聞き覚えがあることに気付いて、ギュっと瞑っていた目を怖々と開ける。
振り向けば目の前には、武士の驚いた顔。
「え? 武ちゃん!?」
「武ちゃんじゃないよ。遅いから様子を見に来たら、トイレの真ん中で突っ立ってるし……。どうかしたのか?」
「あ、あれ?」
もしかして、武士の足音を勘違いしたんだろうか?
「武ちゃん、女子トイレの中に入ってきた?」
「え? 入るも何も、今来て敬子に声かけたんだけど? なんで?」
――違う。
私は、武士の白いスニーカーを見て、確信した。
この軽い靴では、あの足音は出るはずがない。



