-恐怖夜話-



視線すら逸らせずに、ただその光景に見入っている私のことを嘲笑うかのように、


ぎいぃぃぃぃぃっ……っと、一際大きな音が響いたその後、ブランコが動きを止めた。


『がさっ』、と下草が揺れる。


『がさっ、がさっ、がさっ』


草を踏み分ける音と共に、何かが近づいてくる。


いやだ、何これ、動物!?


『がさっ、がさっ、がさっがさっ』


姿が見えない『それ』は、もう私の目と鼻の先まで来ていた。


不意に、草の音が止む。


1分。


2分。


ただならぬ気配だけを漂わせ、永遠とも思える時間だけが過ぎていく。


もしかして、もう、どこかへ行ってしまったのかもしれない。


ゴクリ――。