ブランコの下の方は、枯れた草が猥雑に絡み合い、私からは見えない――。 ただ、ぎぃぎぃときしむ音を闇の中に響かせて、上の部分が揺らめいているのが見えた。 風など吹いていない。 ブランコがあるのは鬱蒼とした雑木林の中で、誰かが乗っている筈などない。 なら……、ならば。 ナゼ、アレハ動イテイルノ――? だめだ、考えるな。 何も見なかったふりをして逃げるんだ。 頭ではそう命令するのに、中途半端に自転車を起こした体勢のまま、身体が金縛りにあったように微動だにしない。