-恐怖夜話-


ゆっくりと、今来た道を振り返る。


私の視線の先。


鬱蒼と木々が茂る林の中、三角形の白いものが見えた。


ゆらゆら。


ゆら、ゆら。


ゆら、ゆら、ゆら。


揺れている。


闇の中なのに、光源など無いはずなのに、そのプラスチックのつるんとしたパイプの質感まで、手に取るように分かってしまう。


『子供用ブランコ』


屋根に付いた白いピニールの幌が、ブランコが揺れるたびに、ひらひら、ひらひらと、はためいていた。