一人と一匹、その場でしばし硬直。 いや、硬直しているのは私だけで、 シロは我関せずに草の根に鼻の頭を突っ込んで、楽しそうに虫か何かを探している。 ちょ、ちょっと、シロっ! あれが分かんないのっ!? お前、野生の本能は!? 一瞬、シロに視線を移して、再び『それ』の方を見た。 が――。 「あ、あれ?」 『それ』が何処にもいない。 私は、きょろきょろと周りを見渡した。