先生は言葉を濁して、詳しくは教えてくれなかった。


でも、


『あまり気にしないのよ? 気にするのが一番いけないそうだから』


と言った時の先生の笑顔は、今まで見たこと無いくらいに引きつっていたから、大分怖い目にあったのではないかと想像している。


過ぎゆく、楽しい一時を留めおくことの出来る『写真』。


それは時として、写してはいけないモノをも一緒に留めてしまう。


そのことを身をもって体験した私は、この一件以来、あまり写真を撮らなくなった。


大切な思い出は、なるべく、心の中にしまっておく方がいい。


そんなふうに思っている――。




    ―了―