その後。


パニック状態に陥った私と若菜は、泣きながら部屋を飛び出した。


カラオケボックスの従業員に助けを求めた私たちが従業員と共に部屋に戻ってみると、雅美は薄暗い部屋の中、一人でソファーの上で気を失っていた。


でも、幸いすぐに意識を取り戻し大事には至らなかった。


ただ、不思議なことに、雅美には、写真を見ていた間の記憶が抜け落ちていた。


おまけは、部屋中に散らばった写真の中に、『あの写真は』が残されていなかったこと。


あの写真が本当にあったのか、


それともただの思いこみだったのか、


今となっては薄れ行く記憶の中に、答えを見いだすことは不可能に近い。


そして、


これは後日分かった事だけど、私の写真を預かってくれた先生もその夜に、何やら怪現象に見舞われたらしい。