繋いだ手から伝わる若菜の温もりだけが、この異常な状況の中でただ一つの救いの糸だった。 でも、 その救いの糸を断ち切るように、繋いだ私たちの手の上に、『ヒヤリ』と、誰かが手を置いた。 体温を感じさせない、まるで人形のような、冷たい手。 雅美のはずがない。 雅美がソファから立ち上がった気配は、ぜんぜんなかった。 だったら、 この手は、誰のモノ……?