襲い来る、恐怖の波。 見えないことでそれが何倍にも増幅し、心の中をどす黒く蝕んでいく。 「えっ!?」 「何っ!?」 悲鳴混じりの声を上げる私と若菜が、闇の中で反射的に身を寄せ、互いの腕を取り合った時、 『クスクスク、クスッ』 トーンの高い少女の笑い声が、背後で聞こえた――。 『クスッ……』 雅美のものとは明らかに違う嘲笑うような声が今度は耳元で聞こえて、身をこわばらせる。