-恐怖夜話-


「雅美? ちよっとやだ! 私の鞄、勝手に開けて写真を出したの!?」


普段は声を荒げることなど滅多にない、若菜の憤りに満ちた声にハッとして、私は嫌な予感を覚えつつ、おそるおそる自分の鞄を開けてみた。


案の定、『私の写真』はない。


雅美は、自分の写真のみならず、勝手に私と若菜の鞄から写真を取り出して、それをテーブルの上に並べているのだ。


「雅美!? 雅美ってば!」


こちらの声など聞こえないように黙々と、同じ動作を繰り返す雅美の肩を、若菜が掴んで揺さぶる。


すると、雅美が、ノロノロと顔を上げた。


ニコリ。


口の両端を上げたその表情は、笑顔に見える。


でも、


目が、笑っていない。


いつも快活で生気に満ちた黒い瞳は、どこか、人形めいて虚ろだった――。