初対面の、どこの誰かも分からない彼に対して、あたしは恋の始まりを予感する。 ――あたしってば、懲りてないのかな……。 ドキドキしている自分に、ほとほと呆れてしまう。 でも、失恋の傷を癒すには新しい恋っていうでしょ? 「あの……。ぜひ、お礼をさせてください!」 「えっ?」 うわぁー、あたしったら。 即、実行に移してしまうこの性格。 恥ずかしいというか、図々しいというか。 だけど。 あたしの全財産を守ってくれたんだから、ちゃんとお礼しなきゃダメだよね?