「――運命なんかじゃないよ」 僕が笑って言うと、奈津は少し拗ねたように反論した。 「いいの! あたしはそう思っているから」 僕たちの出会いを、運命であると信じて疑わない奈津。 生まれた年、誕生日、血液型も同じ。 好きな食べ物も、嫌いな食べ物も。 すべてが共通している僕たち。 そんな二人が、広いこの世の中で出会ったのは、運命だという。 でもさ、奈津? そう思うのは、君だけだよ――……