【短編】運命の人



「――運命なんかじゃないよ」



僕が笑って言うと、奈津は少し拗ねたように反論した。



「いいの! あたしはそう思っているから」



僕たちの出会いを、運命であると信じて疑わない奈津。


生まれた年、誕生日、血液型も同じ。

好きな食べ物も、嫌いな食べ物も。


すべてが共通している僕たち。


そんな二人が、広いこの世の中で出会ったのは、運命だという。



でもさ、奈津?

そう思うのは、君だけだよ――……