昔々、と言うほどじゃないのですが、私は友達がいました。ああ、そう……小学生の時でした。

友達が、私に言ったんです。

「まひるちゃんの笑顔はぎこちないね」って。

ショックでした。自分の笑顔で他人も笑顔になってくれると信じていた私は、なにより、自分の笑顔に自信を持っていました。

「――ぎこちないね」という単語ひとつが、その時本当に、私の笑顔をぎこちなくさせたと思います。

人を笑顔にしていたと思った私の笑顔は、もしかしたら、ピエロが玉乗りに失敗してすっ転ぶみたいに無様だったんじゃないか。

そんな不安まで募ってきて、私は耐えられなくなりました。

だから、私はとてもがんばりました。

ニコニコ笑って、にこにこ笑って、笑顔を、笑顔ばかりを、ずっと続けました。