翌日。 まもなく授業が始まろうとしている教室の隅で大声が響き渡った。 「適当な噂を流して本当にすみませんでした!!」 それは……大声で謝罪する拓斗の姿。 「ちょっと、拓斗君どうしたの?」 思わず静奈に耳打ちした明日香を、更に次の言葉で拓斗は硬直させる。 「それから改めて……俺にそのオレンジの香りを下さい!!」 あの後一晩考えた拓斗は、静奈を守る為新しい噂を流そうと決めた。 そして、その相手は自分なんだって決めていた。