呆然とする静奈を我に返したのは……不意の出来事。 柔らかな口元にそっと、そっと、優しいキスが降り注ぐ。 「知らない香りがする」 「…………」 抵抗する事のない静奈に、拓斗は静かにゆっくりと話し出す。 「俺、本当はずっと別れた事後悔してた」 「静奈には好きなヤツがいるって知って……嫉妬で狂いそうになって」 「だからってあんな噂。本当に、本当にゴメン」 だんだんと嗚咽交じりになる拓斗の口から最後に紡がれたのは…… 「今でも好きだから……この香りを今度こそ、俺にくれない?」