「さっきさ、何で構うのかって言ったよな?」
「そんなの決まってるだろ」
「静奈を……渡したくないんだって!!」
そこが駅前とか、そんな事はどうでもよくって。ただ声を上げる。
本当だったら壊れるぐらいに思い切り抱きしめたいのを我慢して、拳を握り締めたまま……ただ静奈の顔をまっすぐに見つめて。
そして想いをぶつけられた静奈は……淡いブルーのワンピースを風に揺らしながら、その場で顔を強張らせた。
急な展開に頭の中を整理出来なくて。
ようやく震える唇で言葉に出来たのは……
「何?今更……人を散々傷つけておいて、それは何なの?」
静奈からすれば……そんな当然の気持ちがあふれ出す。



