自分なんて構わなくても、拓斗ならモテるはずだし……それに今日はあの頃みたいな優しい顔で。 何で? ずるいよ。 あんな噂を流しておいて……嫌いなんだったら、そんな風に優しい顔で笑わなくてもいいのに。 そこまでして、自分とセンパイを引き離して……更に傷つけたい? 心の中でたくさんの葛藤をしながら顔を上げると、拓斗の顔は何故か赤く染まっていた。 けれど、自分の事に精一杯な静奈はそれに気付かないまま、拓斗の返事を待つ前に更に続ける。 「あとね、私……今日行くのやめようと思うんだ」