一方の静奈も不安な気持ちを抱えていた。 「どうしたの?」 「何でも……無いです」 柔らかい芝生に腰かけて、優しい瞳で見つめてくれるセンパイ。 ずっとずっと憧れていた……ハズなのに。 そっと長い指が伸びて、静奈の長い黒髪をかき上げる。 「元気がないと心配になるよ」 耳元で呟いた言葉の後で、そっとほっぺに触れる唇。 「……んっ……」 それだけで、静奈の体は硬直する。 そんな姿を見ながら、沼田はくすりと笑う。 こんなに幸せなのに……怖いのはきっと。