ずっとずっと、心の中で空想していた事が今、現実に起こっている。
これが、このタイミングじゃなかったらどれだけ幸せだっただろう。
緊張のせいか、再び溢れた一筋の涙にまた親指が重ねられ、にっこりとした笑顔が静奈を包み込む。
私に……興味?
それは……噂のせい?
それとも……明日香が言っていたみたいに、きっかけだって思っていいの?
「あの……私……」
嬉しいのに、言葉が出てこなくてもどかしい。こういう時、いつも自分をうまく表現出来なくて……それで周りをイライラさせてしまうから。
だからこそ余計に焦ってしまう。
「いいよ、急がなくて」
「え?」
そんな、全てを見透かしたような言葉に、今度は胸がきゅうっと痛む。



