まだ中学生だった拓斗が静奈と付き合い始めたのは2年の時の事。
今よりももっとあどけない童顔をして可愛かった静奈。そんな彼女に想いをぶつけ続け射止めた事で、拓斗の事まで学年中で話題になったのは当然で……。
有名だから、なのか。嫉妬、なのか。それとも純粋な想い……なのか。
その裏の心なんて知らないままに、拓斗に生まれて初めてのモテ期が訪れる。
誰にでも優しい拓斗はそんな女の子達を邪険に出来ず、むしろ自分に自信を持ち……少し調子に乗っていたと言ってもいいだろう。
いつの間にか、拓斗の周りを女の子達が囲むようになって行った。
「別に……俺が好きだったのは静奈だけだったのにな」
「何か言ったか?」
「……いや」
男二人で寂しく……しかし静奈と明日香に会えるかもしれない、と予定通りのクレープ屋で糖分を補給しつつも、その横顔に笑顔は無い。



