「わざわざ持ち上げて落とすようなマネを…」
言いかけたあたしの頭の中に、突然ある考えが浮かんだ。
もしかして達郎はワザとあんなセリフを口にしたのではないか。
あたしが舟本に対して腹を立ててたので、あたしのために仕返しをしようとして…。
「ねぇ達郎」
確かめようとして口を開きかけたがやめといた。
自意識過剰すぎるような気がするし、訊いたとこで達郎がそれを認めるとは思えない。
ましてや犯人に「仕返し」なんてもってもってのほかだ。
あたし1人が妄想でもしてればいい。
あたしは達郎の腕に自分の腕をからめた。
「レミ?」
「お茶してこ、達郎。おごってあげる」
「珍しいな」
「事件解決のお礼よ」
あたしは達郎の腕を引くようにして歩き出した。
風が吹き、桜の花びらが舞う。
お花見に行けないまま、桜は散ってゆく。
でも今年は桜を見ながら達郎と一緒に歩いた。
それだけで、満足。
『赤いランドセル』
END
言いかけたあたしの頭の中に、突然ある考えが浮かんだ。
もしかして達郎はワザとあんなセリフを口にしたのではないか。
あたしが舟本に対して腹を立ててたので、あたしのために仕返しをしようとして…。
「ねぇ達郎」
確かめようとして口を開きかけたがやめといた。
自意識過剰すぎるような気がするし、訊いたとこで達郎がそれを認めるとは思えない。
ましてや犯人に「仕返し」なんてもってもってのほかだ。
あたし1人が妄想でもしてればいい。
あたしは達郎の腕に自分の腕をからめた。
「レミ?」
「お茶してこ、達郎。おごってあげる」
「珍しいな」
「事件解決のお礼よ」
あたしは達郎の腕を引くようにして歩き出した。
風が吹き、桜の花びらが舞う。
お花見に行けないまま、桜は散ってゆく。
でも今年は桜を見ながら達郎と一緒に歩いた。
それだけで、満足。
『赤いランドセル』
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