ああ、宮仕えの身はつらい。
「桜といえばむかし婆ちゃんに聞いた話なんだけどさ」
達郎が舞い散る花びらを眺めて言った。
あたしはイトコだから、達郎の婆ちゃんはあたしにとっても婆ちゃんだ。
そして達郎が言う婆ちゃんとは母方の麻砂お婆ちゃんの事だろう。
ふだん顔をあわすことのない祖母がなにを話したのか、興味がある。
「なに、聞かせてよ」
「昔、婆ちゃんの知り合いに有名な茶道の先生がいた」
「ふんふん」
「俗にいう風流人という人で、茶の道以外にも書画や芝居を観るのが大好きだったそうだ」
達郎の家は代々官僚を輩出したいわゆる名家。
お祖父さんは法務大臣だし、父親は警視総監で兄も警視正。
風流人と付き合いがあってもおかしくない。
「ところがその人はどういうワケか桜が大の苦手だったそうだ」
「桜が苦手?」
なんか急におかしな話になってきたぞオイ。
「桜といえばむかし婆ちゃんに聞いた話なんだけどさ」
達郎が舞い散る花びらを眺めて言った。
あたしはイトコだから、達郎の婆ちゃんはあたしにとっても婆ちゃんだ。
そして達郎が言う婆ちゃんとは母方の麻砂お婆ちゃんの事だろう。
ふだん顔をあわすことのない祖母がなにを話したのか、興味がある。
「なに、聞かせてよ」
「昔、婆ちゃんの知り合いに有名な茶道の先生がいた」
「ふんふん」
「俗にいう風流人という人で、茶の道以外にも書画や芝居を観るのが大好きだったそうだ」
達郎の家は代々官僚を輩出したいわゆる名家。
お祖父さんは法務大臣だし、父親は警視総監で兄も警視正。
風流人と付き合いがあってもおかしくない。
「ところがその人はどういうワケか桜が大の苦手だったそうだ」
「桜が苦手?」
なんか急におかしな話になってきたぞオイ。