達郎は再び唇を尖らせ、そして視線だけをあたしに向けた。
「なーに、気になることでもあるの?」
視線に混じった、穏やかでない気配を感じ取ったのは、お目付け役をつとめるうちに得た特殊能力だ。
別に欲しくなかった能力だが。
「気になることじゃなくて、気に入らないことだらけだ」
達郎は頭をかいた。
「言いたいことはわかるわよ」
だからあたしもアリバイ成立に関しては「一応」と言ったのだ。
舟本の証言はハッキリ言って穴だらけだ。
舞台が大昔のミステリー小説ならともかく、現代ではまったく通用しないだろう。
「でもね、物的証拠がなにもないのよ」
現場から第3者のものと思われる指紋は検出されなかった。
遺留品も、足跡もなし。
「目撃証言は?」
「向こう3軒両隣とも、目撃証言は一切なし」
「不景気とはいえ、平和なのが取り柄だからな、この国は」
まったくもって同感。
「なーに、気になることでもあるの?」
視線に混じった、穏やかでない気配を感じ取ったのは、お目付け役をつとめるうちに得た特殊能力だ。
別に欲しくなかった能力だが。
「気になることじゃなくて、気に入らないことだらけだ」
達郎は頭をかいた。
「言いたいことはわかるわよ」
だからあたしもアリバイ成立に関しては「一応」と言ったのだ。
舟本の証言はハッキリ言って穴だらけだ。
舞台が大昔のミステリー小説ならともかく、現代ではまったく通用しないだろう。
「でもね、物的証拠がなにもないのよ」
現場から第3者のものと思われる指紋は検出されなかった。
遺留品も、足跡もなし。
「目撃証言は?」
「向こう3軒両隣とも、目撃証言は一切なし」
「不景気とはいえ、平和なのが取り柄だからな、この国は」
まったくもって同感。