痛い思いをしないように
「っ、ぁ!」
反復する言葉で全てを悟った
感触がないということは、感覚が無いということ
感覚――つまりは痛覚を消すなんて方法は私の知識にある限りでは一つ
「くす、り……」
初めて喋るかのような声が出る
言葉が伝わったのか右桜が笑って頷いていた
「当たり。香我美の願いのための下準備だよ」
下準備、の言葉とともに右桜はある物を取り出した
注射器
一見して分かる物を右桜は見せびらかすように持っていた
さも、香我美のためにと自分の功績を見せたいように
薬に違いはなかった
空の注射器
未使用じゃなく、使用後の器
注射針から滴る水滴は視認しやすく
あの寝覚めの痛みはそれだと知った


