怖いものがいる
子供めいた純粋な恐怖は言い換えるならば、“確かな危険”だ
危険察知をした頭は、四肢に弛緩を要求し、感情に歯止めをかけた
「隠れて写真を撮ったのはお前が嫌がっていたから」
「でも俺たちは、香我美との思い出を残したい」
「香我美、右桜の願いを叶えるにはこの方法しかなくて」
「香我美、兄さんの願いを叶えるためにこうした」
芝居(あくむ)を見ているようだった
解説する彼らは、現実の生き物に見えないぐらい聡明な人であり
黒い沼から這い出た人形(ひとがた)のように純粋なる歪(ひず)みを宿していた
「部屋にカメラをつけたのは、香我美を守るため」
「俺たちがいない間に何かあったら大変だから」
「右桜がお前のそばにいないときに守れるように」
「兄さんが君のそばにいないときに見守れるように」


