「香我美?」
「っ――」
錯乱した頭に入った声は、ある種の引き金だった
差し水になり、思考を一つにまとめる
怒り
怒涛なるそれが血とともに頭に登った
「っ、この変態!頭、おかしいんじゃないの!写真撮って、人の部屋見て。あげく、こんなことしてっ!」
動けないと分かりつつ、体を前に出した
じゃりと軋む音がする
でも、些細な音は自分の怒声で塗りつぶされるようだ
殴りたい、蹴りたい、暴力をもっての苦痛を与えたいほどに私は奴らを憎んでいた
それが
「どれも香我美のためだ」
「ああ、香我美のためだよ」
諭すように解説する奴らは魔物にも見えてきた
香我美のため
どの口が言ってんのか、そう怒りたいのに
「ぁ……」
声が出なかった


